板橋区 不動産
二十歳で上京してきた僕は、当時付き合っていた彼女と板橋区で不動産を探していた。
彼女の名前はキミコ。
出会いは古びてはいるがアンティークがおしゃれな喫茶店「板橋区 不動産」。
何気なく声をかけたら意外にノリがよく、あれよあれよという間に付き合うことになった。
彼女はいつもコーヒーに砂糖を3つ入れる。
「これが板橋区流なのよ。」といつもなぜか自慢げだった。僕は、彼女のそんなつかみ所の無いところが好きになったのかもしれない。
僕たちは、1階が八百屋で2階部分が3LDKのトイレが2つついているという少し変わった賃貸物件を板橋区の不動産屋で見つけた。
賃料が10万円だというので、内見してみたらすごく良くて即決した。
不動産屋も「板橋区では、こういう木造の築年数が経った物件は多いけどこんなに広くて安い不動産物件はなかなか無いですよ。」と太鼓判を押していた。
僕たちは、かれこれここに4年住んでいる。
まだ彼女には言っていないが、そろそろ決心を固めて実行に移すことがある。
それを行う場所は、もう決めてある。僕たちが初めて会った喫茶店「板橋区 不動産」だ。
家の壁には、写真をいっぱい飾っている。すべて彼女との思い出で埋め尽くされている。
それらを眺めていると、楽しかったこと、辛かったことが思い出されて改めてキミコへの想いを再確認することが出来た。
僕は、来週誕生日を迎える。そのタイミングで言いたいと思っている。「・・・別れよう」って。